【Vol1】ブログはじめました

ときたまの更新になりそうですが、日々の記録を残すために書いてみます。

タイトルは何かって?

林芙美子の小説から取りました。sim.jpg

浮雲という小説があります。戦中から戦後にかけてのベトナムを舞台にした、現代にも通じるヒモ小説です。

物語は、ダメ男とゆき子が出会ったダラットという、ベトナム中部の避暑地から始まります。

小説ではこう書かれています。

・・高原のダラットの街は、ゆき子の眼には空に写る蜃気楼のようにも見えた。ランヴァン山を背景にして、湖を前にしたダラットの段丘の街はゆき子の不安や空想を根こそぎくつがえしてくれた・・。

この小説では、典型的なイメージとは違い、「幸せな戦中、みじめな戦後」なのです。どういうことか。戦中、日本は植民地を持っていました。そこでは宗主国として、日本人というだけでかなり豊かな生活ができたようなのです。ゆき子も貧しい日本から抜け出し、ベトナムタイピストとして生きる道を選び、そこで駐在していたダメ男と出会います。そこでの生活は、戦中のイメージにそぐわない、楽しい日々でした。

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そんな日々も長くは続きません。戦後、日本に引き上げたゆき子の生活は苦しいものでした。米兵に半ば体を売って生活をせざるを得ない現実。そんな中、ゆき子はダラットでの甘いダメ男との生活をよく思い出します。

ダメ男「僕たちは、あの自然のなかで夢を見ていたのさ」

ゆき子「思い出すわ、いろんなこと。チャンボウの林を視察に行くとき、4人でアンナンのホテルに泊まってランプでご飯を食べて、みんなお酒を飲んで酔って眠ったでしょう。あのころはみんなよくお酒を飲んだわね。あの晩あなたは一番はずれのお部屋だったわ。私おぼえておいて夜中に裸足で初めて行ったわね。鍵がかけてなかったわ。あのときがあなたと私の……」

ここまでいじらしいゆき子の気持ちを思うと、胸が痛くなりますね。

この小説を読んでから、ベトナムやダラットに行ってみたいという気持ちが、頭のどこかにあったのでしょう。青年海外協力隊に応募しようと決めてから、どの国のどんな要請(仕事)にするかを決める時、ベトナムにすることに迷いはありませんでした。