【Vol156】ベトナム人との仕事で重要なこと:ケーススタディ

先日、ある小売店を村に案内し、村の特産品を買っていただけることになった。しかし、購入先が日系の会社(以下A社)ということもあり、正式な領収書が必要だと言う。この領収書はベトナムの法律に基づいたもので、会計責任者のサインが必要だったり、記入個所がたくさんあるため、不備が出やすいものだ。

こんな手間のかかる書類、村の生産者(以下Bさん)に作成はできないよな・・と思ったが、Bさんは二つ返事で作れるという。それを聞いたA社の担当者は、すっかり乗り気だ。私も「おお、すごいじゃん」と思ったものの、Bさんから本当に不備のない領収書が出てくるのか、疑念は残った。

とはいうものの、今回の私は一介の紹介者に過ぎない。購入者が納得している以上、口を挟む筋合いはないだろう。そう思い、私はひとことだけコメントした。

「本当に間違いのない領収書がBさんから出てくるか、不安はあります。しかし、A社さんが問題ないと思われるならば、私から言うことはありません」

こうして交渉は成立し、納品とあいなった。

しかしその数日後、A社から私への着信があった。

「minamiさん、Bさんに作成してもらった領収書、住所の記載に不備がありました。すみませんが、修正したいです・・。お手伝いしていただけませんか?」

私の不安は的中した。恐らく、経理部から差し戻しとなったのだろう。

ベトナムで仕事をする上で、常に悩まされるのは「100点の仕事をしないベトナム人と、100点の仕事を求める日本人」とのギャップだ。ベトナム人は締め切りの時間も比較的守るし、品質についてもひどいものは出してこない。でも、詰めが甘い。今回のケース、住所の書き間違いなどはその典型だろう。

例えば生茶クッキー作りにしても、100回以上かき混ぜろとレシピには書いてあるにもかかわらず、慣れてくると50回くらいでやめてしまっていた。そこで「味が落ちた」と苦情を言われて初めて、100回かき混ぜるようになった。意識しなければ「何となくおかしいな」で終わってしまう部分で、巧妙に?サボるのだ。

「神は細部に宿る」という格言ほどベトナム人に馴染まないものはない。

一方、日本人は、無意識に100点以上の仕事をしようとする。100回かき混ぜろとレシピに書いてあれば、100回ちょうどでピタっとやめる。そうしたことをすべての工程で繰り返して初めて、100点が取れるという意識が沁みついている。100点をとって初めて、商売という土俵に立つことができるのだ。そこで50回でやめてしまう人は、レベル的には小学生。まともな大人としては社会的に相手にされない。

ではA社サイドからみると、このトラブルを避けるためには、どうすればよかったのだろうか。

A社は、どういうふうに領収書を記入してほしいかのサンプルを持ち込めばよかった。できればその場で書きこんでもらって、チェックする。(もちろん無意識ではあろうが)そこまで徹底しなかった、言い方を変えればベトナム人と仕事をする上でのコツを知らなかったため、トラブルの種が蒔かれてしまったともいえる。

そういうコツを身に付けていくのも、ベトナムでサバイブしていくためには必要なこと。異文化の中で仕事をするということは、かくも面白い。

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