【Vol202】青年海外協力隊員の就職活動②企業に評価されるスキル

前回の記事で、就職活動の流れと基本的な考えについて書いた。今回は、企業に評価されるスキルや経験はどんなものか、考えてみたい。これまでの15回ほどの面接の経験から、企業に評価される、面接での反応がいいワードがあることがわかってきた。

ポイントは「部下や同僚として働いている姿を想像させる」ことである。

例えば、以下のような受け答えの反応がよかった。

「自己紹介をしてください」

→「ベトナムの農村に住み、ベトナム語で仕事をしてきました」

「現地で出してきた成果は何ですか」

→「組織に頼らず、村人の収入向上、ビジネス支援で結果を出してきました」

「強みは何ですか」

→「泥臭く汗をかき、現地の人とコミュニケーションが取れること。加えて、ビジネスパーソンとも対等に会話ができ、キャッシュという成果のために努力できることです」

・・よく言われているように「現地化」できる日本人を、企業は求めていることがよくわかる。ただ、重要なのはローカルにばかり肩入れし、企業の利益を考えない、組織の論理が理解できない人間は採用されない。その部分を私は、20代の7年間、大企業に入社し1社だけでやりとおしたという実績でカバーしている。要は「日本人ばかりとつるみ、現地に馴染めない駐在員とは違う」「組織の論理とローカライズを両立できる」ことをアピールし、日系企業のビジネスマンとして海外で仕事をしている姿を想像してもらえばいい。

加えて、資格や学歴も重要だ。絶対不可欠とは言わないが、相手からの突っ込みどころをなくすのに、資格や学歴は活用できる。資格とは、いわば「自分が誇れるところ」をさりげなく組み込めるツールであり、一生使えるという点から見てもコスパがいい。私の場合は「立教大学卒」「宅建」「トイック765点」「ベトナム語検定」が主なものだった。履歴書に書かれているこれら資格や学歴を見て、面接官は私についてこのような印象を持つだろう。

「とりあえず、バカではなさそうだ」

「基礎的な英語力はあるみたいだな」

ベトナム語ができるっていうのも、ウソではないらしい」

・・ここまで来れば「だったら、当社の海外事業部に配属させても問題ないかな」「これからもしっかり勉強してくれよ」という評価が導き出されやすい。トイック765点なんて大したことはないし、強いアピールポイントにはならずとも、不安点を除去できるレベルではあるのだ。余談だが、これは青年海外協力隊の採用においてもよい材料になった。ベトナム語は難しいから、面接官は語学にアレルギーを持つ人を避けたがる傾向にあるが、トイックを持っていれば採用する側の安心感につながる。

海外事業部に行きたいと言っているのにトイックを持っていなかったり、不動産業界での経験があるのに宅建をもっていなかったりすると、相手にとっては「あれ?」という気持ちになってしまう。もちろん思わない人もいるだろうが、特に中途採用では現場(将来の上司)、役員、人事すべてに評価される必要があるので、突っ込みどころは無くしておいた方が無難である。

というわけで、活動中の後輩隊員に言えることは、とりあえずトイック730点くらいは持っておくことと、使いどころがイメージしやすい言語(志望業界にもよるだろうが、スペイン語ベトナム語、ロシア語、タイ語アラビア語あたりは強いと思う)を習得することだろう。これまた厳しいことを言うようだが、アフリカの少数民族の言語をマスターしても、企業からは評価されにくい。また適当な英語でお茶を濁したり、せっかく上記の言語が使える地域に派遣されたのにマスターしないのも、もったいない。

いま振り返ってみて、ベトナム、それも英語が通じない農村という任地で、私はラッキーだったと思う。「再就職のしやすさ=企業に働くイメージを持ってもらうこと」で言えば、世界でも有数ではないだろうか。もちろん、語学も活動も真剣に取り組むことが前提になるが。

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お読みいただき、ありがとうございました。次回は「青年海外協力隊に参加するメリット」を、キャリアの面から考えてみます。