【Vol5】生茶クッキー支援②

(前回までのあらすじ)

赴任以来、はじめて活動になりそうな「生茶クッキー支援」。販路開拓のため、ハノイに行く!

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(写真はイメージです)

さて、結論から言うと、メチャメチャ売れました。予想の5倍くらい。現在は4店舗までに販路開拓したのですが、月に300個売れる店舗も出るほど。

原価の詳細は明かせませんが、月に14,000,000ドン(約75,000円)の売上になりました。生産者は3人なので、1人当たり約25,000円。大卒初任給が30,000円前後の国なので、家計の大きな助けになりますよね。

販路開拓と一口に言っていますが、それは実際には「飛び込み営業」です。

もちろん下調べはした上で、可能性がありそうな店舗に、ですが。飛び込み営業自体は日本でも経験がないし、いくら外国で日本人同士の距離が近いとはいえ、緊張しました。でも、商品には自信がある。試食の瞬間はもっと緊張しましたが、

「うん、おいしい。とりあえず20個、置いていってください」

と言われたときには、緊張していた力が一気に抜けました。今でも小売店の皆さんには、本当に感謝しています。

なぜここまで売れたのでしょうか?要因はいくつかあります。

・日本人の口に合った(ハノイ在住のパティシエが監修してます)

・パッケージがおしゃれ(前任者のハルカさんが開発しました)

ハノイにはお土産物(特にお菓子)が少ない

・駐在員が帰国する際のお土産用のまとめがいに最適な量、価格

青年海外協力隊員(JICA)が開発支援しているという安心感

ベトナムの古い農村の特産品を使用して、青年海外協力隊員が開発した国際協力という「物語」

上記要因をすべてパッケージングして売ってくれるのが「小売店」の存在。私も詳しい分野ではなかったのですが、売店の「売る力」を甘く見てはいけません。

行きやすい場所の選定、リラックスして買い物できる内装、スタッフの教育、衛生管理、POPの作成、包装・・いわゆるおもてなしの心。若干価格は上がってしまいますが、やはり日本人が世界一だと思います。ただ、そのこだわりが必ずしも外国人に伝わらない=日本人以外にはなかなか売れないところが、どの業界も課題かもしれませんが。

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生産者と小売店さんにて。

先日ちょこっと書いた、どうしてハノイで売るの?という意見について。

JICA「どうしてわざわざハノイで売るの?村で売ればいいじゃない」

浅田「村人には作る力があっても、売る力がないんです。ハノイの方が商圏も広いし、現金収入のためには近道です」

JICA「でも浅田さんの活動場所は村なんだから、基本的に村でやってください」

浅田「村から日帰り圏内にあるハノイは、村でビジネスする上ですべての前提になります。村で売るためのアイディアは配属先にもありません。そこで私が必死に探したところ、ハノイの小売店を見つけ、私が営業し、交渉した。結果は出つつあります」

やり取りの一部を紹介しましたが、JICAの思惑としては、やはり村で活動してほしい、というのが本音だと思います。あっちこっちに行かれると安全面でも心配だし、「協力隊員がハノイで遊び歩いている、ケシカラン!」という苦情を恐れているのかもしれません。この1年JICAに付き合ってきて感じることですが、JICAという組織は、極端に国民からの批判を恐れています。例えば、村人の収入向上のためになることが、JICAにとってリスクになりうる。こんな矛盾が生じるときに、JICAという組織はどちらを取るのでしょう。青年海外協力隊員やその志望者はときに純粋すぎるので、考えてみていいことだと思います。

さて次回は、生茶クッキー最終編。パッケージの改善と広告戦略について、書く予定です。