【Vol6】生茶クッキー支援③

(前回までのあらすじ)たくさん売れた生茶クッキー。更なる改良の一手は?

さて、おかげさまで売れつつある生茶クッキー。しかし、仕事には問題がつきもの。

好評をいただだいている要因のひとつに、パッケージのおしゃれ感があります。

茶

これは私が作ったものではなく、前任者のハルカさんが作ったものです。ハルカさんはここまで作り上げた段階で任期を迎えてしまいました。そう、私が支援を開始したときには、もう完成形として、パッケージは存在していたのです。だからこの点に関しては、何も気を配っていませんでした。

しかし、ここはベトナム。売れ始めて手ごたえを感じ始めたある日、生産者のお姉さんが、おもむろに衝撃の事実を告げにきたのです。

「ハイミナミ!そろそろパッケージの在庫が切れちゃうよ」

え、え、え、

正直、「だから?」

って思いました。もう出来上がってるんだから、印刷をさらにかければいいだけのことでしょう。

よくよく話を聞くと、このパッケージはVIRIというベトナム国内のNGOが支援しており、最初に500枚ほどプレゼントしてくれたとのこと。それもハルカさんが頑張って支援にこぎつけたものです。

「だから、また、プレゼントしてくれるんでしょう。ハルカの代わりに、今度はミナミが。早くしてよ」

なんでだよ。

いつまでも支援が続く訳もなく、原料とパッケージの制作料金を原価として、輸送費やら税金(納めてるのか?)を上乗せして、利益を勘案した上で売る価格が卸値でしょう。パッケージが無料という前提で商品を生産するなんて、信じられない。

とまあ説明するものの、もう小売店からの発注は受けてしまっている。私は日本人です。小売店の社長も日本人です。いったん受けた注文を「パッケージなかったよ。その納期全然ムリ。ゴメンなー」なんて言えるわけがありません。どうする?どうする?

怒っているヒマなんてありません。とりあえず前回プレゼントしてくれたVIRIの住所を聞き出し、

単身、ハノイへ向かいました。

VIRI

VIRIとの協議の様子です。

これが人生初の、英語を使ったビジネスのやり取りでした。時折ベトナム語を交えてですが。

人間、集中するとすごいものですね。ほぼ意思疎通がパーフェクトにできました。

結果は・・

なんと、またもやVIRIが500枚を支援してくれることになり、さらにパッケージの改善まで行うことができました。主に裏面、注意書きの部分の変更です。

旧パ家

旧パッケージ。ベトナム語表記のみ。

写真(1)

新パッケージ。英語表記、村の写真を加え、今後調整可能なようにグラム表記を削除しました。

その後もパッケージが搬入されるまでいろいろありましたが、無事に村についたパッケージの現物を見たときは、ちょっと感動しました。

もちろん生産者には次回からは、自分たちでパッケージの在庫管理をして、発注して、購入しなければならないんだよ、ということを説明しました。はっきりと、私はもう生産者が負担するべき金銭を手助けする支援はしたくない、と伝えたつもりです。

本当にわかってくれたのか、不安は尽きません。

自分たちはもらう側。無くなったら自分たちは負担せず、またお金持ちにもらえばいい、という生産者の発想にも腹が立ったし、なにかをタダでしてあげるということは、自立心を奪うことになりかねない、という援助の本質が内包している矛盾も痛感しました。

でもまあ、みんな喜んでくれてよかった。

ベトナム人は・・といいたくなるときも正直たくさんありますが、貴重な経験をさせてもらったな、という感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。

またもや長くなってきたので、広告編は次回に持ち越し。読んでくださり、どうもありがとうございました。