【vol25】シリーズ:日本で思ったこと~ベトナム人の気質編

さて、ベトナム人と一口で言っても、当然個人個人で違うわけです。ただ、傾向はある。

そこでグループ分けを試みました。

きっかけは、大多数のベトナム人には好印象を抱くのに、どうして職場の同僚にだけイライラしてしまうのだろう?という自分の感情が出発点です。こうして文章にしてみることで、少し整理がつきました。月収や外国語能力、仕事に対するやる気をキーワードにして、グループ分けをしています。

グループ1.富裕層

世帯月収2000ドル以上  外国語能力×~◎  仕事に対するやる気×~◎

いわゆる「日本に来て爆買い」をするグループです。起業で成功したり、土地成金になったりするパターンがあります。これは年収1億円以上という可能性もあり、友人にもいないタイプなので、私は多くを語れません。ただ、マナーが悪い印象があり、子どもはブクブク太っている傾向にあります。外国語能力や、仕事に対するやる気はまさに千差万別でしょう。

グループ2.(外国人基準での)中間層

世帯月収500ドル以上  外国語能力○~◎  仕事に対するやる気○~◎

最近都心に増えつつあり、日系企業のターゲットにもなるグループです。国が豊かになるにつれ増えるグループなので、この層が爆発的に増える瞬間が経済発展のタイミングでしょう。JICAのナショナルスタッフや都心のホワイトカラーがこれに当ります。留学をしていたり、外資系企業で働いていて、努力をしてきた人が多いです。ベトナム人でありながら外国人の目線も持っている点で、恐らく日本人駐在員ともっとも話が合うグループです。いわゆる「都会にいる上級ホワイトカラー」です。

グループ3.(外国人基準での)プレ中間層

世帯月収300ドル以上  外国語能力△~○  仕事に対するやる気△~○

都会の若者に多い。外国語はできたりできなかったりだけど、外国への興味は持っていて、機会があれば留学や外資系企業で勤めたいと思っている。省庁クラスの公務員や、外国人が訪れる施設の職員(外国人対象の病院や学校)がこれに当ります。仕事に対するやる気は、日本人基準だとまだまだですが、きちんと仕事をしているレベルではあります。青年海外協力隊員と友人関係になりやすい、いわゆる「都会にいる一般的なホワイトカラー」ともいえます。月収は青年海外協力隊員の生活費(月額300ドル台)と合致します。

グループ4.(ベトナム基準での)中間層

世帯月収200ドル以上  外国語能力×  仕事に対するやる気×

単純な数でいえばグループ1-3の合計より多いのかもしれません。私の職場のような村役場に勤める地方公務員や、ベトナム人を対象とした様々な施設(病院や学校)の職員でもあります。このグループがクセモノ(後述)なのですが、食べるに困らないくらいの収入はあり、外国人と接することはなく、地元でまったり、というグループです。外国語を勉強する気もないため、日本人からみると、かなり距離の遠い存在です。

グループ5.農民

世帯月収200ドル以下  外国語能力×  仕事に対するやる気×

こちらも、恐らく人口からいえばまだまだマジョリティーでしょう。1日1ドル以下で生活する人もいて、いわゆる「貧困」と定義されがちですが、そもそも現金を必要としない人たちでもあり、ある意味、豊かな生活を送っています。生まれた場所で生活をして、ほとんど移動せず、そこで一生を終える。私の任地・ドンラム村の村人がこれにあたります。生きる分だけ働き、農作物を作り、食べる。病気になったら余計な治療はせず、土に還る。まさにスローライフです。

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さて、青年海外協力隊員にとっての同僚は、恐らくグループ3,4,5のどれかにあたるでしょう。グループ2のイメージはJICAの現地スタッフなので、接する機会はあまりありません。

ここで、グループ3の同僚にしか当らない、という隊員もいます。

同僚に対してイライラすることは少なく、友人関係になりやすいけれど、職場では有給も割としっかり計算され、タイムカードもある。同僚の仕事レベルは、そうひどいものではない。日本語の通訳代わりに使われることもあり、途上国で働いている感じがしない、という声も聞きます。英語が話せることもあるので、語学力が伸びないパターンでもあります。

グループ5はどうでしょう。ある意味「違う世界の人」なので、一緒に仕事をする機会があっても、イライラすることは少ないです。私も何かトラブルがあったとしても、イライラするより先に「伝え方を変えなきゃダメだ」と素直に思えます。JICAの、特にコミュニティ開発の研修でも、かなり熱心にアプローチの仕方を勉強した覚えがあります。尊敬できる面も多々あり、自分の人生を考えさせられます。この人たちと一緒に汗を流すことができるのが、青年海外協力隊員、特にコミュニティ開発の醍醐味といえます。

さて、問題のグループ4。一見ホワイトカラーなのだけど、どうにもやる気がない。

私の職場の同僚がまさにそのタイプで、最初の1年は混乱しっぱなしでした。

「どうしてJICAスタッフと同じベトナム人なのに、こんなにレベルが低いんだろう」

「言い訳ばかりうまくて、何もしようとしない。向上心もない」

そんなことばかり感じていました。

ここまで書いてきて、ようやく見えてきた気がします。

グループ4の人たちは、「そういう人たち」なのです。前回記事参照

現に、同僚の中でも、1人だけグループ3のマインドを持っている職員さんはいて、困ったら相談に乗ってくれます。一方、彼と私が仕事をしていると、グループ4の人が邪魔してきたりします。

私は正直、グループ4に対するアプローチは、何もアイディアが浮かびません。接すれば接するほどイライラしてくる。彼らにとっても煙たい存在でしょう。だからこれからは、必要最低限の報告だけして、なるべく一緒にいる時間を減らそうと思っています。配属先への技術移転という、ひとつの任務を放棄することになりかねないので難しい決断ではありますが・・。

過去と他人を変えることはできません。他人を変えるには自分が変わるしかない。でも、グループ4の同僚を変えるためには、いまの私は力不足。10年後、成長した私は、もしかしたらグループ4に対するアプローチもできているかもしれません。でもこれからの1年は、グループ3とグループ5、それに日本人や外国人を絡めた活動をしていく。そう割り切ることにします。

何かアイディアや感想をお持ちの方がいたら、コメントくださいね。お読みいただき、ありがとうございました。