【vol34】東京がしんどいなら、地方に移住すればいいんじゃないの?

前回の記事(記事参照)を書いていて思ったのだが、だったら地方で働けばいいだろうと感じた人もいると思う。実際、そういう特集をしている雑誌まであるほどだ。

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いろいろなデータが載っている。なかなか面白いです。

でも、私も含め東京出身者は、縁もゆかりもない地方に住む決断はなかなか下せない。地方出身者が大都会に上京するのに比べて、そのハードルは高いし、周りの友達を見てもほとんどそのような例はない。

移住に成功している人は「とりあえず飛び出せ。仕事はある。地方はいい環境だ」と煽る(このブログのように)けれども、そういう人は経済的、精神的に自立しているからできることで、東京出身者に地方に飛び出せ、というのは無理があるのではないか。

何しろ坊ちゃん:日露戦争の時代から、若者にとっては都会は目指すべき場所であって、地方は目指すべき場所ではないからだ。地方を目指す若者は、変な目で見られる。向上心がないと評価されることすらある。

実際、私は新卒のときに地方の新聞社を受験した経験があるのだが、「田舎のお祭りとかを取材するんだよ?泥臭い現場だよ。東京の人にできる?」と問いただされ、説得力をもって答えられなかった苦い思い出がある。もし入社したとしても、しっかりした意思がないと色眼鏡で見られて潰されかねないだろう。

だから、地方に移住するなら、「受け身の就職ではない」収入源と自信を持っていなければ、結果的に追い出されてしまう形になりがちだ。

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坊ちゃん。熊本から東京に上京する物語ですね。

よく「どうして青年海外協力隊員を受験したの?」と聞かれてひとことで答えられず困っていたのだが、いま改めて考えると「転職したい。でも条件は落としたくない」という希望を、今の自分では実現できないと悟ったからだ。

2007年に私は新卒で、それなりの規模の会社に就職した。配属された3年ほどの部署はとても快適だったが、異動があり、その後の3年間がかなりきつかった。そうこうしているうちに30歳を迎え、会社も合併したりで環境も変わった。

年収や条件面はかなりよかったが、だんだん働きづらい社内環境になってきて、かつ社外から高く評価されるスキルを持っていないことに気がついた。要はその年収を稼げている理由は私の実力ではなく、むしろ新卒でその会社に勤めることのできた幸運によるものだったのだ。その幸運にしがみついて何十年も働き続けられるわけがないことは、何となくわかる。意に反した異動や出向を40代以降で受け入れざるをえない先輩を見ていると、もやもやしていたものが自分の内側にあったのだ。でも、条件面を考えると決断できなかった。

会社の未来に懐疑的になりながら、飛び出せない。そんな20代後半を過ごしていた。

そのもやもやを解決する手段として、協力隊があった。詳しくは(過去記事)を読んでほしいが、中途半端に地方に移住したり、海外で就職したりするよりも、国の制度で2年間、どっぷりと途上国で生活できる制度は、今の私にぴったりだと思った。

さらに来てみると、条件はとことん悪くなるので、本当に自分にとって必要なものが何なのかわかる、というおまけもついてきた。ひとくちに田舎生活といっても、「どの程度の田舎」ならば満足できるのか、目安もできた。これならば再就職する際に、条件面でもフレキシブルにも対応できるだろう。

東京と同じ収入がある仕事があるかどうかを心配しているうちは、東京出身者の地方移住は難しい。自分で自分に必要な収入になるだけの仕事を工夫して創り出せる人でないと、地方移住はできないと思う。

もっとも、今の自分がそこまで成長できているわけもない。ただ帰国後、結果的に東京で会社員生活を送ることになっても、いろいろな思考回路を持って状況にフレキシブルに対応できることは、とてもよいことのように思う。

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ホームステイ先からの夕焼け。キレイすぎて怖いくらいです。

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↓地方移住を考えているなら、海外、できれば田舎生活を経験できる協力隊はいい制度だと思います。異文化と田舎、両方に対応できる力が身につくから、よい訓練になります。ブログランキングに参加しているので、この記事がおもしろいと思ったら、ぜひクリックしてくださいね。

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