【vol37】海外?国内?都会?田舎?どこであなたは暮らしますか

ときどき、ハノイにある日系のホテルに泊まると、日本のテレビがほぼリアルタイムで見られる。何となく懐かしくて見ていたら、こんなドキュメンタリー番組をやっていた。タイトルは能登消滅 9分の8の衝撃」

内容そのものは日本の過疎にあえぐ地域を追ったもので、特に目新しいものではない。

能登が消えるかもしれない。石川県の能登半島は、9つの自治体のうち8市町が「消滅可能性都市」に該当する人口減少が深刻な地域だ。この十数年間、学校の統廃合が進み、ローカル鉄道の路線も廃止となった。そんな中、住み良い場所へと集団移転するため、産廃処分施設の誘致に名乗りを上げる集落も現れた。国が「地方創生」をスローガンに政策を進める中、疲弊する地方の実情を通して、人口減少社会における今後の地方のあり方を問いかける。

番組ホームページより。

番組の中盤、子どもたちのために横断歩道を誘導する、いわゆる「みどりのおばさん」の映像が、印象に残った。

「さようなら」下校時、20人ほどの生徒を、わずか数分で見送る。彼女はふと「もう終わり。少ないね・・」とつぶやく。

車もほとんど通らない、ピカピカの道路に浮かぶ、雲ひとつない冬晴れの空。元気な子どもたちの姿だけはベトナムと変わらないけど、とても寂しく、痛々しい光景だった。

今の時代、日本の若者には、大きく分けて4つの選択肢がある。

A日本の都市で働き、暮らすか。

B日本の地方で働き、暮らすか。

C日本以外の都市で働き、暮らすか。

D日本以外の地方で働き、暮らすか。

このうち、Dは相当なレアケースだろう。私はハノイ近郊の農村、ドンラムに住んでいるが、とてもじゃないが永住はできない。

私がここで生きていくには、たとえお金がかかろうとも40キロ先にあるハノイでリフレッシュすることが必須の条件なのだ。

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ハノイにあるスタバ。私にとってオアシスのような存在だ。

ではAか。日本にいたときの私がこれにあたる。私の友人も90%以上はこのパターンであるが、一般的な会社員にとってはの労働環境は、年々厳しくなりつつある(前回記事)。

Cはどうだろう。独身の間はともかく、家族を持つといろいろと考えなければならないことがある。

結局、そうは簡単に居心地のよい環境なんて用意されていないのである。

こう考えてみると、戦後(朝鮮戦争から阪神大震災まで)の日本が、日本人にとっていかに居心地のよいものであったことが、よーくわかる。特に大卒・男性・日本人の三拍子そろったスペックを持って社会に出てきた人にとっては、こんなに生きやすい世の中はないだろう。もちろん彼らが頑張っていなかったという意味ではないが、あまり考えずに頑張れば結果はついてくる、という価値観は、今思えば楽である。

私が、若者は大人の言うことを信じるな(記事参照)と思う理由は、ここにある。

基本的に、いままでの日本社会を構成してきた男性たちはヌルく、貧弱なのだ。

もちろん私も、その貧弱な大人の一人だった。

これではいけない、と本能的、直感的に日本を飛び出してきた部分もある。

この決断はとてもよいことのように思うが、その理由のひとつに、自分の思考を少しずつ整理整頓し、アウトプットできていることにある。自分の可能性と限界が、村での生活を通せば見えてくる

未来はわからないが、わからないなりに働き、生きていける自信がついた。

きっと1年後日本に帰っても、見せかけのプライドや必要以上の収入、何よりも大人の常識的なアドバイスに惑わされることなく自分の信じる道を行くことができる。これこそが青年海外協力隊の経験で得られる、最大の糧であるような気が、いまはしている。

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