【Vol81】日本が克服できない最大の問題って、何だと思いますか?

前回は日本人のよいところである、仕事に対して誠実であることについて書いたが、その副作用について、述べておきたい。わかりやすい事例として、先日、ベトナム人の同世代の友人から質問があったので、紹介する。やり取りは英語。

友人「急にシリアスになってごめん。自殺の本当の理由って何なのかしら。私は、あなたの国がいまだに高い自殺率をキープしていることを言っているの」「去年、こんなニュースを読んだの。南部ベトナムの、とある地方で、橋が作られていた。そのとき、突然ケーブルが切れたの。幸い、死者や負傷者はいなかった。ただ、その橋の下道が、2時間ほど渋滞しただけ」「そのチーフエンジニアは、日本人だった。彼は事故に対し、大きな責任を負っていたみたい」「そこで私が理解できないのは、責任を取る手段として、彼は謝罪の意を示した遺書を書いた上で、自殺したということ」

友人「これは、日本では一般的な振る舞いなの?どうやったら、彼らの自殺という行動を説明できるの?」

私「日本では、自殺という手段が責任を取る手段として選ばれやすい文化がある」「もちろん、通常ではありえない。しかし私たちの歴史では、多くの王様やサムライが戦争に負けたとき、自殺と言う手段を選んできた。私たちはその歴史を知っているために、自殺という手段を選ぶことが簡単なのかもしれない」「もちろん、一般的とは言えないけれど」

友人「そういえば、私はサムライを知っているわ。ハラキリするのよね。でも、なぜ日本人は歴史上の振る舞いを後追いするの?」

私「自殺を選ぶ人々は、自殺という手段が彼らのプライドと謝罪の意を両立させる(balance)と信じているのだと思う」「私は、彼は仕事から逃げるべきだったと思う。死ぬよりましだからね。しかし彼は、古い日本人の典型的な手段を選んでしまった」

友人「あなたはバランスだと表現するけど、そのバランスは彼自身の内面に対して?それとも社会に対して?」

私「両方だ。彼は謝罪を表明する手段を他に知らなかった。加えて、多くの日本人は人生における優先順位の置き方として、仕事を最上位に挙げる」「だからこそ、日本のテクノロジーが発展してきたという側面もある」

友人「あなたの人生の最優先は、仕事?」

私「違うよ。少なくとも、所属する会社に与えられた仕事ではない」

友人「ありがとう。私の意見を言うわ。失敗は人生の一部。人は失敗から多くの貴重な学びを得る。成長する」「もしいつか、あなたが自分で自分を傷付けたと聞いたら、私は本当に、本当に憔悴する。私だけじゃなく、あなたを愛する誰もがみな、そうよ」「私は、自殺を選ぶ人には、家族や恋人や友人がいないのかと、不思議に思うわ」「サムライは、もういない。最後の最後まで、仕事にベストを尽くすこと自体は、まったく構わない」「でも、私が挙げたケースでは、不幸にしてケーブルは壊れた」「そこで、どうして彼は問題を解決する手段として、自殺以外の方法を選ばなかったのかな」「彼の会社は、多くの時間を費やして新しい人材を探さなければならない」「日本は、才能ある男性をひとり、失った」「家族はもう、愛おしい彼や彼の心に、二度と出会うことができない」「たくさんの要素があるの。私たちは、自分の人生は自分だけのものではないことを理解しなければならない」

「それを、『責任』と呼ぶのだと思う。私はそう思う」

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いかがでしたか。日本人は高度成長期に深刻化した環境問題を克服しつつあるけれども、もうひとつの大きな問題である自殺は、いまだに良化の兆しを見せていない。人生を発展させるために仕事があるのに、仕事のために人生を犠牲にし、国は貴重な人材を失う。日本ではいまこの瞬間も、たくさんの人が自ら死を選んでいる。

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↓実は、ベトナム人からこの問題について議論を持ちかけられたのは、初めてではありません。世界的にみても、英語を話し、国際情勢に関心のある層は、日本といえば自殺や過労死と連想するのが一般的ではないかと思うほどです。それがどんなに異常な事態か、認識していないのは当の日本人だけです。これは私にとっても、大きなカルチャーショックでした。たくさんの方に読んでいただけると励みになるので、ぜひクリックをお願いします。

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