【Vol93】すごく嬉しかった!と少しだけ落ち込んだ・・話。
青年海外協力隊事業において、安全の次に大切にしなければならないのは、なんといっても語学である。JICAもそのことはよくわかっていて、予算が削られている昨今の状況にあっても、語学訓練の予算だけはなんとか確保してくれている。もっとも、ベトナム語を話せる、あるいは話そうとする意思のあるベトナム事務所員が数えるほどしかいないのは残念ではあるが。
語学というのは一朝一夕にはいかなくて、上達してきたと思って自信をつけたら、できない現実に打ちのめされて落ち込む。その連続が何度となく押し寄せ、長い目で見ると少しずつ成長していくものだと思う。
今回はそんな、自信をつけた話と、落ち込んだエピソードを紹介したい。
ハノイの街を歩いているときのこと。さいきんオープンした牛角に入り、ベトナム語で注文をした。すると、店員さんが「失礼ですが、お客様はベトナム人ですか、それとも日本人ですか」と聞いてきた。これまでも道を聞かれたりといった、見た目のベトナム人化は進んでいたのだが、ベトナム語を発したら、すぐに外国人だと認識されてきた。それがついに、即バレはしなくなったのだ。これはベトナム語の発音に四苦八苦してきた私としては嬉しい出来事で、ついにネイティブ並みの発音ができたのかとひとりでニヤニヤ笑いながら焼肉を食べていた。ベトナム人はひとりを嫌うので、変な日本人だと思われたに違いない。
それから数日しか経っていないのに、少し落ち込んだ出来事があった。ベトナム人の友人と、ベトナム語を勉強している日本人数名とご飯を食べたときのこと。日本人は、ベトナム語を専門に勉強している大学生が主だ。ベトナム語でたわいもない話をしていたのだが、なかなか会話についていけない。話の筋を追いかけているうちに話題は次に移り、タイミングがずれるために会話に入れない。発言すると、明らかに自分のテンポはみんなと比べて遅く、意味は通じても笑いにはつながらない。なんだかなと思って少し集中を切らすと、ますます会話に入れなくなる。そんな数十分を過ごしているうちに、悔しくい、みじめ、仕方ない・・いろいろな感情が出てきて、なんだか疲れてしまった。
こんなときには、認知行動療法が参考になる。ポイントとなる、自動思考に対する反証を挙げてみたい。
・100%わからないわけではなく、部分的にわかる部分もある
・日本人学生の専門はベトナム語なのだから、できて当たり前
・私が勉強をはじめて、1年半も経っていない
・女子が多い場での女子トークなので、日本語でもテンポについていけないことはよくある
・この場に参加できているということだけでもすごいこと(勉強していない人はそういう機会もない)
大人になるということは、うまくいかない現実をどうにか破綻しないようにコントロールし、日々に立ち向かっていけるということでもある。若者は思うがままに勉強し、吸収でき、日々が楽しくて仕方ないだろう。私と彼らには10歳程度の歳の差がある。まだ老けこんだ気はしないが、努力や工夫が結果にうまく比例しないようなことも出てきた。勉強以外におろそかにできないことも、10年前に比べたら格段に増えている。でも、思考錯誤しながら結果を出すことって、とてもおもしろい。40にして惑わず、という言葉を信じ、30代は惑いながらも懸命にインプットを続けていきます。
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