【Vol119】震災支援の恩返しでODA?あなたはどう思いますか。

2年前の夏、福島県二本松市で訓練生活を送っているとき、外務省官僚が来て、私たち青年海外協力隊員に対し、こんな話をした。

「我々は、東日本大震災でたくさんの国から援助を受けました。日本はこれから、その恩返しをしなければなりません」

彼は、ODAは必要だ、もっと増額しなければならないという論拠のひとつに、そのような理屈をつけていた。

それはおかしいと、私は思う。

先の震災で、たくさんの国から援助をいただいたのは、素晴らしいことだ。しかし彼らは、見返りなどを見越して援助したものではない。彼らは、いまこの瞬間に、困っている人が海の向こうにいて、自分のできることを精いっぱいしようと行動してくれたのであり、将来の見返りとか、恩返しのODAを期待したものではないはずだ。相手からしたら、恩返しなんて名目でODA援助を受けたならば、そんなつもりで震災時に支援したわけではない、とキッパリ断るだろう。

たくさんの支援をいただいた我々がしなければならないことは、ODAで恩返しなどという、チンケなものではない。

日本人ひとりひとりが、汗をかき、優しくて強い国を作り上げることだ。痛みを知り、痛みと寄り添い、少しずつ前に進むことのできる人に、国になることだ。

「日本をひとことで例えるなら、フェニックス。倒れても倒れても、立ちあがる国。尊敬しているよ」

ベトナム人の友人からそう言われたとき、私は嬉しかった。困難に直面した時に大声をあげて泣いたり、恨みを持って復讐に燃えるのではなく、じっと困難に耐え、できることを一つずつ積み重ねることだ。それこそが復興の精神だし、我々日本人は、それができる民族だろう。

万が一、外務省やJICAに、震災を通じて省益や予算を確保したいという思惑があるとすれば、下品というほかない。被災した方々を二重に傷付け、海外からの善意を利用しようとする、姑息な行為だ。

愛は無償だからこそ、尊いのである。ボランティア活動もそう。もし私が、日本語教室の子どもたちから恩返しに何かしたいと言われたら、元気でいてくれるだけで十分だよと答えるだろう。

恩返しという言葉を、私は好きになれない。

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