【Vol121】国際協力のプロのご意見をいただきました

私は国際協力という分野に、もともと興味があまりなかった。どうしてと問われても、答えられないほどに考えたこともなかった。そんな私が何の因果かベトナムの農村に住み、村人の収入向上のために日々汗を流している。なんとも不思議な縁だ。

そんな縁が、新たな出会いをもたらしてくれた。

ブログ掲載の許可をまだいただいていないので詳細は書けないが、青年海外協力隊員の大先輩で、いまはNPOを自ら立ち上げ、アジア諸国を中心に活躍されている男性だ。以下Aさんとする。

そんなAさんが、ドンラム村を訪れた。別件でハノイでお会いしたのだが、私のずうずうしいお誘いに、乗ってくださったのだ。

ドンラム村に着くと、少し緊張しながらも、私の活動現場にお連れした。生茶クッキーの生産者の工場だ。

さっそくAさんが生産者に質問する。内容は決して難しいことではないが、具体的に、記憶を思い起こさせるような質問のテクニックを駆使している。

「利益は出ているのか」「先月はどうやって生産者ごとに利益を配分したのか」「1ヵ月あたりの損益分岐点は何個以上の売上か」「設備投資分はどうやって回収するのか」「利益はプールしてあるのか」「クッキー生産をやめようと思ったことはあったか」

利益の質問を例に出すと、生産者が「とてもたくさん!」とあいまいに応えた瞬間「先月はいくらだった?」「最後に利益が出た時は、いくらだった?」と質問する。通訳しているこちらも緊張してしまうが、ごまかしはきかない。事実を探るためには、このような質問を繰り返ししなくてはならない。

インタビュー後、Aさんからは、期待以上の出来だったと、お褒めの言葉をいただいた。このプロジェクトで評価できることは、短期間で終わらない、持続可能性が感じられることだという。生産者自身で利益の出る価格を決め、小売店と直接やり取りしており、その価格の根拠が比較的しっかりしていることから、そのことが感じられると評価された。

その理由を考えてみると、私や前任者のハルカさんが、活動において使えるオカネが限られているという点にある。配属先はオカネを出してくれないし、JICAも仕分けの影響かベトナム事務所の特色か、ほとんど業務費を使えることがない。2人とも、体と頭は使っても、オカネを出すことはできなかった。だから、彼女たち自身が利益を出す仕組みをなるべく早く整え、それを引き継がなければならなかったし、そのことが結果的に幸いしているのだろう。これが、支援する側が何もかもお膳立てしてあげた結果ならば、長続きはしなかった。

Aさんからの評価を聞き、私はホッとした。私自身にも国際協力の経験はなく、またベトナムで同じような活動をしている隊員も少ないため、活動を評価してもらえる機会がなかったからだ。

また、私が見落としている点として、こんなことを指摘された。

「minamiさんは、なるべく黒子に徹すること。彼女たち自身が、自分の活動を他の地域の生産者に話したり、経験をシェアしたりすることで自尊心も芽生え、さらなる工夫が生まれる」

確かに、利益を上げることだけを最優先に考え、どうやったら更なるモチベーションアップにつなげられるかは、意識したことがあまりなかった。そして今の段階で私がすべきことは、待つことだとも言われた。彼女たちの自発性が芽生えてくるのを、じっと待つ。彼女たちから相談してきたら、もう半分成功したようなものだと。

もちろん私は国際協力のためだけに来ているわけではなく、また私自身の実績づくりのためにも、わかりやすい結果として○×個売れた、メディアに登場したという点も無視するわけにはいかない。ただ、ある程度の成果が出たいま、国際協力のプロフェッショナルの意見を聞けたことは、とてもいい経験になった。

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