【Vol140】村人の生活調査・・インタビュー
先日、村人のひとりで、ハノイの大学で日本語を専攻するアインちゃんのお母さんに、じっくりインタビューを行うことができた。
・家族はお父さん（40代）、お母さん（40代）、長男（日本の建設現場で働いている、25歳）、長女（村出身の大学生、ハノイに上京中、20歳）の4人家族。
・ 収入は、お母さんが村の入り口で営む小さな商店（主に観光客のドライバー用）での利益が月200万ドン（約10,000円）。お父さんが日雇い労働で稼ぐ 月300万ドン（約15,000円）が収入の柱。他に長男からの仕送りが月170万－200万ドン（約8,500-10,000円）。日本で働く長男の仕 送りが少ない理由は、日本に行く際に仲介業者に支払った費用（総額2,400万ドン、約12万円）の返済に充てなければならないからだ。まとめると、1ヵ月の総収入は計700万ドン（約35,000円）となる。
・ ハノイに上京している長女、アインちゃんの生活費や学費について。学費は月180万ドン（約9,000円）。家賃が月90万ドン（約4,500円）、電気 水道代が月30万ドン（約1,500円）、食費が月160万ドン（約8,000円）。その他Wi-fiやバイク維持費を含め、支出は月計550万ドン（約27,500円）となる。電話代やお小遣いは彼女自身のアルバイト（スターロータスさん）でまかなっているという。
・農地は持っていない。現在の収入は、農業をする場合とあまり変わらないが、炎天下の中で作業しなければならない農業は健康を害すため、やりたくない。
・ 5年前、長男が大学に行った時は、物価が安かった。いまは3倍程度に値上がりしている。特に私立代の値上がり幅がひどい。ドンラム村で暮らしている限りは 1日50,000ドン（約250円）あればじゅうぶんに生活していけるが、教育費（大学）が家計を圧迫している（理由については後述）。
・高校の学費は月60万ドン（約3,000円）程度。
・なぜか450万ドン（約22,500円）もする最新の携帯電話（サムソン）を持っている。収入に比べたらアンバランスな選択だと思うのだが・・。
・minamiの質問「いまの生活も幸せそうに見えるが、どうしてがんばって稼いで子どもを大学に行かせたり、日本に行かせたりするのか？」
→ お母さん「もちろん、ドンラム村での暮らしは幸せ。でも、長い間働いてきたから、体にガタがきている。ドンラム村の中で稼ぐだけでは、病気になったときに 病院や整体に行きたくても、お金がないから行けない。私たちはそれが苦しい。だから子どもたちには、村の外でたくさん稼いで、健康な生活を送ってほしい。 そのためには学が必要であり、無理してでも大学に行かせている」
・・・・・・・・・・・・・
インタビューを通して印象深かったの は2点。収入のほとんどを長女の学費と生活費に充てているということと、健康についてとても心配しているということ。平和で食べていけるだけの農作物が豊 富にある現代にあっては、教育と医療が最重要課題なのだ。農作業は不健康だからやりたくないというのは、これまで私が持っていなかった視点だ。農民＝貧し いというより、農民＝不健康のほうが村人のイメージに近いことが伺える。
裏を返すと、教育と医療なんてどうでもいい、生まれ育った家や村 で生きて死んでいくと決めてしまえば、ほとんど働かずに暮らしていけるということだ。ただ、私の知る限り、10代の若者を持つ家庭は、多少無理してでもハ ノイの大学に行かせたがる傾向にある。そのため現在、大学進学率は急増していて、50％を超えていると思われる。これからその傾向が続くと、いろいろなこ とが変わっていくだろう。
農業に対する忌避感があるのは想像できたが、その理由は収入の問題というよりも、体がきついからというのは印象深い。だからこそ、体に負担なく、簡単に育てられる作物を使った加工製品を、農家自らが生み出せたならば、農家は豊かになる。私が支援している生茶クッキーもそのひとつだが、やや手間がかかることと、農作物以外の原料（特にバター）が割高になっていることがネックといえる。新世代の農業の形を生み出す＝六次産業化というのは、日本においてもひとつのキーワードになっていくのだろう。
・・・・・・・・・・・・
お母さん、インタビューに協力いただき、ありがとう！
・・・・・・・・・・・・・・・・・
たくさんの方に読んでいただけると励みになるので、ぜひクリックをお願いします。ご意見ご感想や、ドンラム村に行きたい！minamiに会いたい！という 人がいたら、お気軽にletteraamoroso@hotmail.comまで。メール待ってます。
にほんブログ村
にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・家族はお父さん（40代）、お母さん（40代）、長男（日本の建設現場で働いている、25歳）、長女（村出身の大学生、ハノイに上京中、20歳）の4人家族。
・ 収入は、お母さんが村の入り口で営む小さな商店（主に観光客のドライバー用）での利益が月200万ドン（約10,000円）。お父さんが日雇い労働で稼ぐ 月300万ドン（約15,000円）が収入の柱。他に長男からの仕送りが月170万－200万ドン（約8,500-10,000円）。日本で働く長男の仕 送りが少ない理由は、日本に行く際に仲介業者に支払った費用（総額2,400万ドン、約12万円）の返済に充てなければならないからだ。まとめると、1ヵ月の総収入は計700万ドン（約35,000円）となる。
・ ハノイに上京している長女、アインちゃんの生活費や学費について。学費は月180万ドン（約9,000円）。家賃が月90万ドン（約4,500円）、電気 水道代が月30万ドン（約1,500円）、食費が月160万ドン（約8,000円）。その他Wi-fiやバイク維持費を含め、支出は月計550万ドン（約27,500円）となる。電話代やお小遣いは彼女自身のアルバイト（スターロータスさん）でまかなっているという。
・農地は持っていない。現在の収入は、農業をする場合とあまり変わらないが、炎天下の中で作業しなければならない農業は健康を害すため、やりたくない。
・ 5年前、長男が大学に行った時は、物価が安かった。いまは3倍程度に値上がりしている。特に私立代の値上がり幅がひどい。ドンラム村で暮らしている限りは 1日50,000ドン（約250円）あればじゅうぶんに生活していけるが、教育費（大学）が家計を圧迫している（理由については後述）。
・高校の学費は月60万ドン（約3,000円）程度。
・なぜか450万ドン（約22,500円）もする最新の携帯電話（サムソン）を持っている。収入に比べたらアンバランスな選択だと思うのだが・・。
・minamiの質問「いまの生活も幸せそうに見えるが、どうしてがんばって稼いで子どもを大学に行かせたり、日本に行かせたりするのか？」
→ お母さん「もちろん、ドンラム村での暮らしは幸せ。でも、長い間働いてきたから、体にガタがきている。ドンラム村の中で稼ぐだけでは、病気になったときに 病院や整体に行きたくても、お金がないから行けない。私たちはそれが苦しい。だから子どもたちには、村の外でたくさん稼いで、健康な生活を送ってほしい。 そのためには学が必要であり、無理してでも大学に行かせている」
・・・・・・・・・・・・・
インタビューを通して印象深かったの は2点。収入のほとんどを長女の学費と生活費に充てているということと、健康についてとても心配しているということ。平和で食べていけるだけの農作物が豊 富にある現代にあっては、教育と医療が最重要課題なのだ。農作業は不健康だからやりたくないというのは、これまで私が持っていなかった視点だ。農民＝貧し いというより、農民＝不健康のほうが村人のイメージに近いことが伺える。
裏を返すと、教育と医療なんてどうでもいい、生まれ育った家や村 で生きて死んでいくと決めてしまえば、ほとんど働かずに暮らしていけるということだ。ただ、私の知る限り、10代の若者を持つ家庭は、多少無理してでもハ ノイの大学に行かせたがる傾向にある。そのため現在、大学進学率は急増していて、50％を超えていると思われる。これからその傾向が続くと、いろいろなこ とが変わっていくだろう。
農業に対する忌避感があるのは想像できたが、その理由は収入の問題というよりも、体がきついからというのは印象深い。だからこそ、体に負担なく、簡単に育てられる作物を使った加工製品を、農家自らが生み出せたならば、農家は豊かになる。私が支援している生茶クッキーもそのひとつだが、やや手間がかかることと、農作物以外の原料（特にバター）が割高になっていることがネックといえる。新世代の農業の形を生み出す＝六次産業化というのは、日本においてもひとつのキーワードになっていくのだろう。
・・・・・・・・・・・・
お母さん、インタビューに協力いただき、ありがとう！
・・・・・・・・・・・・・・・・・
たくさんの方に読んでいただけると励みになるので、ぜひクリックをお願いします。ご意見ご感想や、ドンラム村に行きたい！minamiに会いたい！という 人がいたら、お気軽にletteraamoroso@hotmail.comまで。メール待ってます。
にほんブログ村
にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・
