【Vol143】JICAに3年いると○×になる!?

JICAに関わるようになって疑問に思うことのひとつに、経費申請が挙げられる。調整員(JICA職員)からは、ふた言目には「公費を使っているのだから・・適切に・・」と言われる。確かにその通りなのだが、一方では手続き論ばかりにこだわって、正当な手続きを踏んだ支出であればいくら散在しても構わないという負の側面もある。100円と100万円を同じ労力を使ってチェックするから、1億円の不正を見逃すというイメージだ。ちなみに、私がいた会社では、扱っている数字の上3ケタ以下は議論するなと教わった。1億円のプロジェクトなら100万円未満の支出は問題にしない、という合理的な発想に基く。瑣末な問題に入り込み過ぎるとそれだけで消耗し、本質的な問題を議論する余裕がなくなる。

JICAには、そういった合理的な考えはない。どんなに非効率でも、1円単位で答えを出そうとする。

例を出すと、バスの領収書問題が挙げられる。ベトナムでは、任地からバスで移動するときに、領収書や半券をもらえないことも多い。バス会社や車掌からすれば、金さえもらえればそこまでサービスする義理はないのだろうし、それを望むのは難しい。しかしJICAからは、隊員がバス代を申請する際には、そういった証拠の提出が求められる。だから、たまたま半券をもらえなかったときは、ひと悶着が起きる。たかだか数ドルのバスチケットについて、大の大人が何時間も議論し、ときには本部に問合せすることもある(けっこう本部のほうが物分かりがよかったりする)。職員の残業代は?会議室の電気代は?国際電話料金は?論点であるバス代よりも高額な経費が、そこに発生している。これぞバカの壁。しかしそれが「公費の適切な利用」なのだ。数ドルのバス代くらい、不正な使用ではないという誓約書でも書かせて、ノーチェックで受理し、ときどき抜き打ち検査をするくらいでいいと思うのだが・・。

こういう組織に3年以上いると、仕事に対する捉え方が歪んでくる。2年の任期というのは、JICAの論理にハマりすぎるなよ、という警告なのかもしれない。

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