【Vol161】田舎と都会。あなたはどちらに住みますか?

何度かお伝えしてきたパナソニックリスーピア訪問。ちょっとしたトラブルがありながらも、実現にこぎつけた。村の子どもたちも、喜んでいたように思う。

とはいうものの、今回集まってくれたのは、わずか数名。当日キャンセルおよび待ち合わせ場所に来ないといった子どもたちが相次ぎ、人数的にはやや寂しいものとなった。集まってもらった子どもたちには感謝するが、今回はこの点を少し考えてみたい。

声をかけた子どもたちは20名ほど。子どもたちはみんな、行きたいと言ってくれた。ただし、親の許可が必要だ。親御さんたちには行かせたいという気持ちはあるものの、懸念点があり、それが足を伸ばさない理由につながった。

懸念点とはハノイと村との、距離の問題だ。

ドンラム村からハノイ市内にあるリスーピアまでは、約40キロ。市バスで1時間ほどの距離だ。ただし村人にとってハノイまでの心理的な距離は、物理的なそれよりも、相当遠いというのが、私の印象だ。

私はハノイによく行くが、その理由は、ハノイが都会だからだ。私の故郷は東京だから、村に住んでいると都会が恋しくなる。つまり私はハノイに、擬似的に里帰りしているとも表現できる。すると心理的な距離は自然と縮まるし、村からハノイまでは「わずか40キロ」という意識になる。

一方、村人にとってはどうだろう。彼らに撮って故郷はドンラム村であり、都会に対してアウェーの印象しか持っていない。彼らは、私がハノイで足を伸ばすスターバックスにもイオンにも、恐らく映画館にすら行ったことがない。経験があれば「行きたい」という欲望が出てくるが、知らなければ欲望も出てこない。彼らにとってハノイは異質な存在であり、怖いという印象すら持っている節すら感じられる。すると自然に、村人にとってハノイは遠い存在になっていく。高校生くらいになれば都会的なものに対する憧れも出てくるが、子育て世代で村から出たことのない村人にとっては、村からハノイまでは「40キロもある」という感覚になる。

そこで私が「ハノイは近い」「バスで1時間だけだよ」と説得したところで、親御さんの意見は変わらない。たとえ子どもが「行ってみたい」という気持ちを持っていても、親御さんのハノイまでの心理的距離は遠く、消極的になる。

村人は素朴で情に厚く、人に優しい。その反面、閉鎖的でチャレンジせず、小さなコミュニティで満足する。普段は私は前者に救われているが、今回は後者の面が表面化したのだろう。「わざわざハノイに行かなくても・・」という村人のメンタリティは根強かったのだ。それを解決するには、村の入り口から貸し切りバスを出したり、学校の先生が引率してくれることだが、配属先が私の活動に対して非協力的であるため、それもやりにくい。

それと同時に、今後の人生を考えると、私は都会でしか生きられない人間なんだという思いも新たにした。私のアイデンティティは田舎にはなく、都会にある。農村生活もいいが、それはあくまでも一時的なものであり、田舎にアイデンティティらしきものを抱くことは、恐らくこれからもないだろう。アイデンティティについてはコチラでも書いた。

とはいえ無事に終わり、成功といえる結果を残せたことは素直に喜びたい。異国で、それも相手の母国語で仕事をしているのだから、小さな成功の積み重ねが大事だ。

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パナソニックの炊飯器で作ったオニギリ。おいしかった!

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理数科のおもしろさを学べる、体験型施設です。

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