【Vol184】ベトナム語の特色・・外来語編

これまで、ベトナム語について、何度か書いてきた。その難しさのひとつに、英語を手掛かりにできないことが挙げられる。少しでも英語を解する人ならば、会話の途中で単語が思い浮かばないときに、そこだけ英語にしてしまえばいいから、ラクである。「part time job」「dance club」程度のことなのだが、いちいち辞書を引かなくていいので助かる。

でも、ごく普通のベトナム人にとって、英語のハードルはとても高い。それなりの価格(200円くらい)のコーヒーチェーン店に行っても、「Reguler size,no suger」といった単純な言葉が通じないことが、しばしばある。

ベトナム人は、外来語を徹底的に「ベトナム語」に直す。「プリンター」は「印刷機」だし、「カメラ」は「写真機」で、「トイレ」は「衛生家」になる。ホテルもレストランもエアポートもバスもステーションも、バンクもカードもスーパーもフィッシュもミートもフルーツも、エアコンディショナーもヘアドライヤーもスイミングプールも、ピンクもオレンジもレッドもブルーも、モーターバイクもトレインもヘルメットも、アメリカもフランスもアジアもアフリカも、サッカーもボールもゴールもコートも、パンもケーキもハンバーガーもパスタも、一般のベトナム人には通じない。英語やフランス語由来のものは「oto=自動車」「Taxi=タクシー」「cap-he=カフェ」、「Tivi=テレビ」、「Chocolate=チョコレート」くらい。最先端の英単語「メール」、「インターネット」、「ワイファイ」くらいは通じるようになったが・・。だから、ベトナムのカントリーサイドにディープなロンリートリップなんて、マイフレンドにはリコメンドできないのだ。

「ミーとレストランにトゥギャザーしてナイトライフをエンジョイしよう」・・ちょっと前に流行ったルー語は、日本人の英単語力(英語力ではない)の高さを示すものだ。外国のものを自国風にアレンジすることに長けている我々の特色が、言語にも表れているのだと思う。「オファーを受ける」「正式なレターを出す」など、もともとの日本語よりも正確にニュアンス(これも外来語だ)を表現できる単語すら存在する。

ひとつ、エピソードを紹介しよう。先日、カフェでランチをしていたときに、ケチャップが欲しくなった。店員に「ケチャップください」とベトナム語で言っても、「ケチャップ」が通じず、困惑している。仕方なく辞書で調べると、ケチャップは「トマト味噌ダレ」とベトナム語で表現するのを見つけ、思わず「ケチャップは世界中どこに行ったってケチャップであって、わざわざ翻訳しなくてもいいじゃん・・」と苦笑してしまった。もちろん日本で「トマト味噌ダレ」と言っても通じないだろう。外来語を日本語っぽくして輸入することに、日本人は慣れている。

これは意外に大きな問題であって、外国の文献を紹介するときにいちいちそれに相当するベトナム語を探して翻訳しなければならないから、高いレベルの専門書や教科書を作ることが、非常に手間がかかる。特に医学やリハビリの分野では、それがネックになって発展が阻害されているという話を聞いたことがある。

こういったことが、ベトナムで暮らす上で、ちょっとしたストレスにもなる。日本ってすごいなあ、と思う瞬間だ。もっとも、最近の日本人は気軽に英単語を使い過ぎて、うまく伝わっていないこともある。「レバレッジをきかせる」「ローンチする」とかね。

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ケチャップの表示。堂々とベトナム語で「トマト味噌」と書いてある。

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